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【不動産広告・公取編】不動産広告の違反事例について | ぴこサプ

【不動産広告・公取編】不動産広告の違反事例について

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以前に公取規約についてのコラムを掲載しましたが、実際に規約違反によって罰則が科せられた事例はどのくらい発生しているのでしょうか。また、どのようなケースで罰則が科せられているのか気になったので調べてみました。

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罰則を科せられた不動産会社は公取協通信に掲載される

実は規約違反で厳重警告や違約金の罰則を科せられた不動産会社は、匿名ですが首都圏不動産公正取引協議会が発行する「公取協通信」という毎月発行される会報誌に掲載されています(首都圏の場合)。
こちらはホームページ上でも閲覧が可能なのでここから2016年10月~2018年9月までの過去2年分をチェックしてみました。

罰則が課せられた事例は過去2年で108件(首都圏不動産公正取引協議会の管轄内)

過去2年間で108件の情報が掲載されていました。平均すると月4.5件ですね。思ったより少ない気もします。
ではどんな事例が多いんでしょうか。

媒体はほぼインターネットから

※「首都圏不動産公正取引協議会の公取協通信」より青葉広告調べ

まずは規約違反とされた広告媒体をみてみると108件中102件がインターネット広告、そのうち78件がポータルサイト、そして24件が自社ホームページになっています。自社ホームページの情報もしっかりチェックされているんですね。ついで無許可の屋外広告物が5件、1件が宅配チラシになっていました。

チラシの場合は広告の継続性が弱いのに対して、ホームページは誰でも見ることができ、かつ公開されている限りいつでも見ることができる点、そして掲載物件数も桁違いなのでインターネットが規約違反が多く、罰則が科せられた事例が多いのも自然な感じがします。
ただ以前はチラシからも事例もいくつか見られたのですが、直近2年間でチラシが1件とは驚きました。

それでは具体的な違反の内容です。
複合的な事項で指摘されていますが、よく見てみるとそれぞれのケースに罰則を科せられることとなった大きな要因があるように思います。それでは見てみましょう。

罰則が科せられた内容のほとんどが「おとり広告」によるもの

※「首都圏不動産公正取引協議会の公取協通信より」青葉広告調べ

規約違反として罰則が科せられた108件のうち、なんと90件が「おとり広告」となっていました。

「おとり広告」とは、実際に取引ができない物件を掲載して(おとりにして)客引きを行う行為です。おとり広告は「不動産の表示に関する公正競争規約」の第21条で禁止されていて、かなり悪質なケースであると言えます。

第2節 おとり広告

(おとり広告)
第21条 事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない。
(1)物件が存在しないため、実際には取引することができない物件に関する表示
(2)物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示
(3)物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件に関する表示

出典元:不動産公正取引協議会連合会 -不動産の表示に関する公正競争規約-より

しかし、細かい点を注目してみると、情報公開当初は未契約だった物件が、契約が決まった後も取り下げられずにそのまま継続して掲載されていたケースが66件ほどありました。

規約違反とされたものは契約後も数ヶ月以上公開されていたものがほとんどのようなので、故意的に行っていた物件もあるようですが、もしかすると単純に更新を怠ったがために、結果規約違反になってしまったケースがあるかもしれません。

もちろん、規約違反とされた物件は「おとり広告」以外にも「取引条件の不当表示」「取引内容の不当表示」などがほぼ重複して指摘されているので、故意でなかったとしても違反をしているものが多いのは事実です。

ただ「おとり広告」以外の内容で、罰則が科せられた物件は次の項であげたもの以外は例が少なく、公正取引協議会が特に「おとり広告」というものに対して厳しく対応している様子がうかがえます。

おとり広告以外の違反事例について

先のグラフでは、「おとり広告」に次いで「取引条件の不当表示」「取引内容の不当表示」となっていますが、これらはおとり広告に重なって指摘されている事例がほとんどでした。

では「おとり広告」以外で罰則が科せられた物件は、何を指摘されているか見てみると、「広告表示の開始時期の制限等の違反」という事例が11件ほどあり、どうやらこれが直接的な原因のようです。

第2章 広告表示の開始時期の制限

(広告表示の開始時期の制限)
第5条 事業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、宅建業法第33条に規定する許可等の処分があった後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の内容又は取引条件その他取引に関する広告表示をしてはならない。

出典元:不動産公正取引協議会連合会 -不動産の表示に関する公正競争規約-より

上記の規約の通り、新築分譲物件では広告を行う前に「宅建業法第33条に規定する許可等の処分」が必要とされています。「宅建業法第33条に規定する許可等の処分」というと様々な内容がありますのでここでは省きますが、広告としては一般的に地方自治体の行政機関である建築主事(または民間の指定確認検査機関)に発行してもらった建築確認番号を掲載することで証明します。

しかし「広告表示の開始時期の制限等の違反」で警告を受けている物件は、これらの「建築確認番号」が未完成物件にもかかわらず未記載、または虚偽などがあって、この「宅建業法第33条に規定する許可等の処分」が認められなかったもののようです。

あとは少数派ですが、「取引内容の不当表示」のなかでも専有面積を大きく見せたり、駅からの所要時間を明らかに短くしたりといった悪質なもの、そして、電柱広告の「表示義務違反」がありました。
そもそも電柱広告は無許可の設置自体が条例違反にあたるので、そもそも規約に則って掲載されていないものが多いようです。

物件の種別は賃貸住宅が6割ほど

ちなみに物件種別としては賃貸住宅が6割を占めていました。流通の量を考えれば自然な流れかといったところでしょうか。
ちなみにその8割以上がおとり広告に該当しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。首都圏不動産公正取引協議会では2017年1月度から、この罰則を受けた会社に対して「ポータルサイト広告適正化部会」の構成メンバーが運営する下記の不動産情報サイトへの広告掲載を1か月以上停止する施策を実施しています。

広告掲載を停止される不動産情報サイト
  • at home
  • いい部屋ネット
  • ラビーネット不動産
  • CHINTAI
  • マイナビ賃貸
  • ヤフー不動産(株)
  • LIFULL HOME’S
  • SUUMO
  • スマイティ
  • 健美家
  • ハトマークサイト

インターネットからの集客が中心となっている現在は、これらのサイトに掲載できないというのはかなり厳しい措置だと思います。
現在は特に悪質なケースを中心に罰則が科せられており、特におとり広告に対しては厳しく対処している状況です。

物件情報の登録・管理は、それぞれ担当の営業が個々に行っていることがほとんどだと思います。業務の忙しさの中で物件の更新・削除を忘れてしまったり、入力間違いなどで罰則を科せられてしまうことのないように、社内での物件管理・チェックの仕組みをよく検討をしてみてはいかがでしょうか。

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